和傘とは?歴史や種類について徹底解説

和傘とはどんなものかイメージできる人は多いと思います。しかし、複数の種類があることをご存じでしょうか?この記事では、和傘の定義や歴史、種類を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

和傘とは

和傘

和傘とは、主に竹と和紙を原材料として使用され、日本で作られた傘の総称を指します。竹の他に違う木材が使用されたり、装飾や補強目的で糸が使用されたりするのも特徴です。

和傘は骨格になる骨組みの数が多く、一般的なビニール傘の骨組みが8本なのに対して、和傘の骨組みは36〜54本もあります。骨組みが多くなる程、強度が上がるので雨や風に強くなります。

雨傘として使用される場合は、和紙の表面に撥水性のある、のりや油が塗ってあります。防水性がとても高く、和紙に雨水が染み込むことはありません。反対に日傘は防水加工がされていませんが日差しが程よく透けるので、日差しの強さや角度によって和紙特有の表情が内側から見て取れるようになっています。

また、雨傘や日傘としてだけでなく、魔除けのために使用されたり、傘に家紋が描かれていて雨の日でも身分がわかるように用いられていました。現在では、力士や舞妓さんなどが、着物と合わせて和傘を好んで使用しているようです。また、時代劇の小物として使用されたり、旅館などのお店のインテリアとして使用されるケースが多いです。

和傘の歴史

和傘

和傘は中国が発祥とされています。元々は雨具としての利用ではなく、魔除けなどに用いられていたようです。また、現在のような開閉式の傘ではなく、設置式やお付きの人が持ち歩く大型の傘でした。その後、平安時代頃に仏教と合わせて日本に伝わりました。当時は日本も中国と同様に魔除けとして利用されていたそうです。

そして、安土桃山時代になると和紙の製造や油を塗る技術が発達して、撥水性のある雨をしのぐ道具として開発されます。すると、持ち歩くために小型化したり、開閉ができるように開発が進んでいきました。

江戸時代に入り大名が産業として和傘を作り始め、入手がしやすくなったので普及されるようになります。また、歌舞伎などの小物で使用されたり、屋号を記した傘の貸し出しが始まったことも、傘を広めるのに大きな影響をあたえたでしょう。

明治時代になると、洋服や洋食など西洋文化が多く日本に入ってきます。すると、服装に合わせて傘も洋傘が主流になり、和傘は使われなくなっていきました。現在では、力士や舞妓さんなど一部の伝統的な職業の方や、店のインテリアなどで使われる程度となり、和傘を使用する人はごく少数になってしまいました。

和傘の種類

和傘

和傘には様々な種類があります。具体的には下記の通りです。

● 番傘
● 蛇の目傘
● 日傘
● 舞傘

それぞれ詳しく解説します。

番傘

番傘とは、柄が竹で作られていて、骨組みに和紙を貼る一番代表的な雨傘です。持ち手や骨格になる竹は太い物が使用されている場合が多く、重厚感がありしっかりとした作りになっています。装飾のないシンプルなデザインの物が多いです。

使用用途は、雨や雪の日に使用する雨傘として使用します。晴れの日に日傘として使用するのは避けてください。表面に塗られている油が紫外線で劣化して剥がれやすくなってしまうからです。紫外線が強い場所で使用すると、撥水性が低下しやすくなり傘の寿命が短くなります。

男性が使用するケースが多いですが、男女兼用として作られているので女性でも扱えます。また、価格が安価で一番多く出回っているので、見かける機会も多く比較的入手もしやすいです。

番傘の名前の由来は諸説あり、貸出用の傘が分からなくなるのを防ぐために、傘に屋号や家紋、番号を記載していた説や、江戸時代の中ごろに「大黒屋」が「大黒番傘」という商品名で安価な傘を売り出して一般庶民に広まった説の2つが有力です。

蛇の目傘

蛇の目傘とは、柄が細い竹や他の木材が使用され、藤が巻かれています。和紙のデザインもカラフルでオシャレな物が多く、内側の骨格には糸で飾り付けがされています。全体的に細い素材が使用されていて、華やかでオシャレなデザインが多いです。

使用用途は、番傘と同様に雨傘として利用します。また、歌舞伎など古典芸能や和装式の結婚式の際に小物として多く利用されています。男女兼用として作られていますが、華やかなデザイン性と軽量で扱いやすいことから、女性に人気が高いです。

蛇の目傘の名前の由来は、丸くデザインされた模様と先端のカバーが蛇の目に見えたことから、蛇の目と言われるようになりました。また、日本では蛇は神の遣いとされ神聖な動物でした。そのため蛇の目傘は魔除けや縁起物としても扱われていて、嫁入り道具やお祝い時の贈り物としても利用されていたようです。

日傘

日傘とは、細い竹などが使用されていて、全体的に小ぶりに作られています。デザインもオシャレでカラフルな物が一般的で、蛇の目傘と同様に内側の骨格にも糸で模様がデザインされています。

使用用途は、晴れの日に日差し除けとして利用します。雨の日の使用は絶対に止めてください。日傘には防水のための油が塗られていないからです。そのため、雨の日に使用してしまうと和紙が水を吸ってしまい破れて使えなくなってしまいます。また、日傘は小ぶりに作られているので、後述する舞傘の代わりとして利用される場合もあります。

日傘としての機能性は、特殊なUV加工がされているわけではないので、完全に紫外線を防げる訳ではありません。しかし、和紙が程よく日光を透過するので、和傘のデザインが内側からも華やかに見えたり、完全な日陰にならないので手元が暗くなりません。そのため、写真写りがとてもよく、写真スタジオなどでもよく使用されているようです。

舞傘

舞傘とは、歌舞伎などの古典芸能の際に使用される、軽量で取り回しの良い傘を指します。デザインはカラフルで模様がついている物もあります。しかし、あくまで芸に使う小物なので、着物や衣装を引き立てるために派手すぎないデザインの物が多いです。

また、使用される材料に和紙ではなく、絹が使用されている舞傘もあります。絹の方が透明度が高く若干光を反射して輝いて見えるので、舞台上で良く映えるのと遠くの観客の目にも止まりやすいからです。しかし、和紙で作られた和傘と比較すると価格が高額になる傾向があります。

機能性としては、日傘としてなら普段使いが可能です。防水加工はされていないので、雨や雪の日の使用は避けましょう。ただし、他の和傘と比較すると高額になる可能性が高いので、普段使いよりはインテリアなど飾りとして使用する方がおすすめです。

まとめ

和傘

この記事では、和傘の定義と歴史、種類について解説しました。

和傘とは、竹と和紙を使用して日本で作られた傘の総称です。骨格が多く36〜54本も使用されていて、一般的なビニール傘と比較すると約6倍もの本数になるので、強度が高いです。また、雨傘に使用される場合は、撥水性のある油が塗られているのも特徴です。雨傘や日傘としてだけではなく、魔除けやインテリアなどでも使用されています。

和傘は元々中国で魔除けとして使われていた物が、平安時代に日本にやってきて、安土桃山時代に雨具としての傘として発展しました。その後、江戸時代で価格が安くなったり歌舞伎などの影響で広く普及しました。しかし、明治時代に入り、西洋文化が広まると同時に洋傘が使われるようになりました。

和傘の種類は下記の通りです。

● 番傘
● 蛇の目傘
● 日傘
● 舞傘

番傘は重厚感のあるシンプルなデザインで、蛇の目傘は細身のオシャレでカラフルなデザインの雨傘です。日傘と舞傘は防水加工がされておらず、取り回しのしやすい小型の和傘になっています。